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第二章 小学生編 第七話 入学式

Author: 三木猫
last update Last Updated: 2025-12-06 11:41:10

「お兄ちゃん達ーっ!ご飯だよーっ!!」

リビングのドアを開け二階に向かって叫ぶと、ドアが開き階段を降りてくる音が聞こえた。

「鈴、今日のご飯は何?」

「今日はママの退院祝いも込みで豪華にチラシ寿司だよっ!」

「美鈴。お前着々と腕を上げてるな」

「でも、ちょっと時間かかっちゃった。ごめんね」

「そんなに待ってないから大丈夫だよ。むしろ手伝えなくてごめんね、鈴ちゃん」

「宿題が優先だもん。当然だよ~」

お兄ちゃん達が目の前を通り過ぎてリビングへ入るのと一緒に中へ入って私はキッチンへと戻る。

お皿は出したしー…箸もおいたしー…あ、しゃもじっ。

パタパタとスリッパを鳴らして、しゃもじと、ついでに湯のみにお茶を淹れてお盆に載せてテーブルへと持っていく。

私が準備を終え席につくと、お祖母ちゃんもリビングへ入って来て、全員揃った所で、頂きますと夕飯が始まった。

「で、さっきの話に戻るけど、どうしてもダメー?」

「どうしてもって訳じゃないけどね。ただ、やっぱり不安なんだよ。私が」

誠パパとママが何やら言い合いをしている。

そう言えば私がご飯を作ってる間、ずーっと二人でああやって攻防戦を繰り広げてた。

そもそもの理由は何なんだろう?

「なぁ、佳織母さん。一体何の話だ?」

鴇お兄ちゃんがそう言うのも納得で、私達子供が同意して頷く。

「聞いてよ、鴇ー。誠さんが、美鈴の入学式出ちゃダメって言うのー」

「…佳織母さん、確か二日前に出産したばかり、だよな?」

「うん。そうよ」

「で、美鈴の入学式は明日だよな」

「うん。そうね」

「普通に考えてダメだろ」

ですよねー。って言うか、そんな事で言い争ってたのか…。

「そもそも、ママ?ママが入学式に来てる間、『旭(あさひ)』の面倒、誰が見るの?」

旭とはそれこそ二日前に産まれた私達の弟である。

ママと誠パパが私達に名前を決めて欲しいと言うから、兄妹四人であーでもないこーでもないと話し合いに話し合いを重ねて名前が決まった。

候補は何個か上がったんだけど、明るく育って欲しいってのと、明けた空の美しさを兼ね備えた男であれって意味と、あと、白鳥家の男は漢字一文字の名前が多いって事から『旭』になった。

誠パパにそっくりな蘇芳色の髪が私みたいに波打ってて、ママと同じ水色の瞳。……産まれた時から分かる程可愛いから、将来きっと我が家で最も美しくなるだろうと想像がつく
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